株式会社は以前から存在した法人形態で、有名な会社もこの形態なので特に問題なく理
解できると思います。
合同会社は平成18年5月1日から始まった会社形態で新聞やテレビでも報道されていま
したので聞いたことはあると思います。(初耳だという方にも会いましたが)
では株式会社と合同会社とは何が違うのかというと、所有と経営の分離を前提としている
のが株式会社で、分離を前提としていないのが合同会社です。所有と経営の分離とは、 お
金を出す人と会社を運営する人とが分かれているということです。分離していると当然に出
資者(株主)と経営者の間に利害の対立が生じてきますので、制度が複雑になってきます。
その証拠に商法から分離した会社法でそれぞれ専用の条文は25条から574条までが株式
会社の規定で575条から675条までが合同会社(持分会社)の規定となっています。その差
は歴然です。
このことから日本の会社のほとんどを占める中小企業は、株式会社よりも合同会社向きと
も言えると思います。なぜなら会社にお金を出している出資者と会社を経営している社長が
一致することが多いからです。
そこで現在、個人で事業をしている方が会社を作ろうと考えるならばまず合同会社から始
めてその後、株式会社に組織変更するとういのも一つの方法です。会社設立に必要な最低
限のお金も、株式会社に必要なお金の2分の1以下で合同会社は作ることができるからです。
中小企業を経営していくうえで株式会社と合同会社の違いを考える場合、大きな違いは
上記の会社に出資する人と会社を経営する人とが同じか違うかです。細かな点を挙げて
みても、そんなに影響はないと思われますので、気にしておく点をいくつか表にまとめてみ
ます。また、個人事業との違いについても合わせて表にしてみます。
個人事業 | 株式会社 | 合同会社 | |
イメージ | 信用? | 安心感がある | 新鮮さがある |
役員の任期 | ー | 2年〜10年 | 無し |
決算公告 | 義務なし | 義務あり | 義務なし(清算時等義務あり) |
利益の分配 | なし | 株数に応じて | 出資に関係なく配分可 |
出資の譲渡 | なし | 原則自由 | 出資者間で自由 |
出資者の責任 | 無限責任 | 有限責任 | 有限責任 |
税務上の相違(株式会社と合同会社に違いはありません) | |||
決算期 | 12月 | 自由に設定可 | |
赤字の繰越 | 3年 | 9年 | |
役員給与 | なし | 費用計上 | |
専従者給与 | 要届出 | 届出不要 | |
事務処理負担 | 少ない | 増える | |
専門家費用 | 少ない | 増える | |
節税の可能性 | 小 | 大 |
会社を設立するにあたって自分で設立するのか、専門家に依頼するのか・・・。
会社の設立をどの専門業種の方に依頼するかを迷われる方は税理士に依頼しましょう。
それは、会社は設立することに目的があるのではなく、設立した後の業務遂行を円滑に
行うことを最初の目的と考えなければならないからです。つまり、設立してからの各種届出
をきちんと行わなければ、不要な税金等を払わなければならなくなる可能性があるからで
す。気のきいた税理士ならば設立費用を増やすことなく、会社設立とその後の手続きまで
アドバイスしてくれると思います。
税理士自体は定款の認証代行ができないので会社の設立を完全には代行できませんが、
提携している司法書士等の方に会社設立の部分だけを依頼することができます。(税理士は
行政書士の登録ができますので、行政書士の登録をしている税理士なら定款の認証も行っ
ていると思います。)このことで会社設立の費用がかさむことはまずないと思います。費用が
かさむ心配をされる方は、事前に電話などで会社設立費用を税理士にきいておけばそれで
費用のことを確認できます。
私がみてきた会社の決算で、税理士以外に会社設立を頼み各種届出をしておらず、不
要な税金を払うことになった会社がいくつもあります。最近の税理士はワンストップサービ
スと称して、他の専門業種の方と提携して総合的に会社に関するさまざまな手続きをアドバ
イスしていますので、税理士を入り口として会社運営を行うのが最良の方法です。
お問い合わせは ⇒⇒⇒ こちら
株式会社、合同会社、これらの会社を自分で作ってみることもお勧めです。
ただ、多少の面倒を厭わない人向きです。定款の作成から始まり、印鑑の作成、法務局へ
の作成相談のために出向く、などなどかなり手間がかかります。独立する方や、副業で会
社を作る方は、会社員のうちに、できるだけ時間的な余裕を持って準備をすることをお勧
めします。
会社を作るには、まず定款を作成する必要があります。会社の登記簿には、この定款に
書かれていることが一部分記載され、これが登記と称されることになります。この定款を
作る際に悩むところが、会社名、会社の目的、ではないかと思います。特に初めての方は
悩むところです。会社の定款は、ネットでも検索すればいろいろと出てきますのでそれを
真似するのも一つです。あるいは法務局のHPにある書式のひな型を活用する、というのも
手です。株式会社の場合であれば、公証人の認証をクリアすればひと段落なので、まずは
それを目指すことになります。
公証人役場に行って直接認証をしてもらえれば、その場で誤字・脱字も修正できます。
その場合には、社長になる人の実印や会社の印鑑を持っていきましょう。
公証人の認証を得れば、法務局への申請になります。設立登記申請書を作成し、登記す
べき事項別紙を作成し、社長の選任書類、選任承諾書類、払込証明書類、などなど、説明
に沿って作成を進めます。
ここまで作成したら、一度法務局の相談窓口に一切合切の書類、印鑑等を持って相談に
行った方がいいと思います。相談は事前予約性になっていています。予約なく行っても
いいのですが、空きがなければ次回の予約をとらされるだけで、渋々帰ることになりかね
ません。一度相談をして、必要書類の説明、書き方のアドバイスを受けると一安心できます。
相談をしないで法務局に提出すると、ほぼ間違いなく提出書類の補正などで呼び出しを受
けることになります。必ず一度(できれば二度は)相談を受けることをお勧めします。
書類が完了したらいよいよ設立登記申請書類の提出です。日にこだわりがある人は、
こだわりの日に提出しましょう。提出日が会社の設立日になります。補正で呼ばれて時間
がかかったとしても、提出日が設立の日になります。会社は都内の法務局では次の次の日
には出来上がることもあります。何日に出来上がる予定かは法務局のホームページで知る
ことができます。ただこれはあくまで補正がない場合の最短の予定ですので注意が必要です。
登記完了予定日が来たら、法務局に行きます。その時には必ず印鑑カード交付申請書を
作成して持っていきましょう。会社の印鑑を押して受付に提出すると何分もかからず印鑑
カードを作成してもらえます。個人の印鑑カードと同じ、と考えていただければいいかと
思います。以後印鑑証明を取得する際にはこれが必要になります。この発行を受けなくて
も印鑑証明は発行してもらえますが、実印を持って法務局に行く必要がでてきます。
印鑑カードがあれば全国の法務局で印鑑証明を受け取ることができます。
印鑑カードを受け取ったら、印鑑証明等の発券機の前に行き、カードを差し込んで印鑑
証明書や履歴事項全部証明書の交付申請を行い、印紙を買って証明の発行を待ちます。
これで出来上がった会社を確認することができます。
少々大雑把な説明になりましたが、時間のある方はぜひ自分で会社を設立してみてく
ださい。