会社の事業承継制度はいままでありましたが、個人事業者の事業承継が創設されました。
事業承継で一番ネックなのが、相続税や贈与税です。この制度により要件を満たせば土地、
建物、それ以外の事業用資産を贈与や相続した際の贈与税、相続税の100%が納税猶予
されます。
要件としては、
・個人事業経営承継計画を、認定経営革新等支援機関とともに作成すること。
・個人事業経営処刑計画を平31年4月1日〜令和6年3月31日までに都道府県に提出すること。
・事業資産をもらった後継者は18歳以上であること(令4年3月31日までは20際以上)。
・贈与の対象は、土地は400㎡まで、建物は800㎡まで、他の資産は青色申告書の貸借対照表
に記載されたものであること。
・先代の配偶者等の親族からの贈与も、一定の要件の下に納税猶予の対象。
・不動産貸付業、駐車場・駐輪場業、性風俗業でないこと。
・先代は廃業届を出すこと。
・後継者は贈与前3年間以上先代の事業に従事すること。他所で同様の仕事に従事でも可。
・納税猶予分の担保を提供すること。
・平31年3月31日〜令10年12月31日までの間にされた贈与であること。
などがあります。
贈与税に関しては、
・後継者が事業を続けている限り、対象資産の贈与税は納税猶予されます。
・事業を継続していくことを前提に納税猶予適用から5年経過後に現物出資にて法人化した
場合も贈与税の納税猶予は続きます。
・後継者が先代より先に死亡した場合、贈与税は免除になります。
・後継者が一定の身体障害者等に該当した場合。
・後継者に破産手続開始の決定があった場合。
・先代からの相続後5年経過後に、次の後継者へ資産を贈与しこの納税猶予特例を受ける場合
・他にも一部免除になる場合があります。
事業承継の場面では、贈与税だけでは片手落ちなので相続税についても納税の猶予制度
が作られました。事業用資産の範囲、後継者の範囲などの事業の中心となる部分は贈与税
の納税猶予と同じです。贈与税と相続税の違いの部分だけ異なっています。
・後継者は相続開始の直前に相続した事業資産に係る事業に従事している必要があります。
・小規模宅地の特例と納税猶予の特例は、選択適用になります。
猶予税額が免除になる場合
・後継者が死亡した場合
・5年経過後、後継者がさらに次の後継者にこの特例の贈与税の納税猶予の適用を受ける場合
・後継者が障害者になるなど、やむを得ない理由で事業を継続できなくなった場合
・他、贈与税の場合と同じ
猶予期間中は、3年ごとに猶予の継続届出書を税務署に提出する必要があります。