相続税を計算するときに相続財産から控除する基礎控除は
5,000千万円+1,000万円×相続人数、で計算します。
相続人とは通常実子ですが、実子ではなく養子の場合どうなる
のでしょうか?
養子を相続人に含めていいのか、いいとすれば人数は無制限
に含めていいのでしょうか?
「養子は、縁組の日から、養親の嫡出子の身分を取得」します
ので、相続人の数にも入れていいはずです。
以前は節税養子といわれる養子がいました。昭和63年以前は
2,000万円+400万円×相続人数が基礎控除額でした。
養子を4人作れば1,600万円控除額が増えることになります。
資産家のあいだでは、節税のための養子は珍しくなかったよう
です。ある例によれば一度に二十人以上も養子を迎えることも
あったようです。
そこで昭和63年税制改正により基礎控除額を4,000万円+
800万円×相続人数とする改正が行われました。併せて相続人
に加算できる養子の数を、実子がいれば1人、実子がいなけれ
ば二人までとなる改正も行われました。
バブル経済の際の地価高騰等によるこのような節税方法に歯
止めをかけたのです。養子を相続人の数に入れることが相続税
の負担を不当に減少させる結果となる場合には、税務署長の
認定により養子を相続人の数に入れないことにもなっています。
民法上の特別養子又は連れ子養子等は実子として扱われます。
相続税逃れのための養子とは考えにくいからです。
養子は特別養子縁組を除いて、養親が成年であり、尊属又は
年長者でなければ養子とすることができ、家庭裁判所の許可が
あれば後見人が被後見人を養子とすることができ、配偶者のあ
る者が養子縁組をする場合の要件を満たし、未成年者を養子と
するには原則家庭裁判所の許可を得ることにより養子縁組をす
ることができます。
民法の規定が前提となる相続税法では、民法の養子のありよ
うから税法が影響を受け、相続人に加算できる養子の数を税法
にて制限するような規定になっている、といえます。
さらに考えてみると、昔からの日本の養子が子のための養子と
いう以外にもいろいろな理由により存在してきたことが民法の
規定にもあらわれていると言えます。